知恵生活の種

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3Dプリンタでレンズホルダーを作りました

前回の記事で、取り上げたスマホ向けレンズを簡単に持ち歩けるようにレンズホルダーを作りました。
以前の記事で取り上げた3D CAD(DesignSparkMechanical)でデータの作成を行います。
今回は、ネジ穴の設計のやり方も記載したいと思います。
レンズホルダー

 

 

製作検討

最初に、どういったイメージのものを制作するか、また、ネジ穴の設計に必要な情報の確認を行います。

製作イメージ

レンズの根元部分はオスネジになっているので、ホルダーをメスネジに仕上げ、ねじ込んで固定できるようにします。
また、クリップを留める場所を設けはさんでクリップを固定できるようにします。
常に持ち歩けるように、キーホルダーリングを通せるようにします。

ホルダー製作イメージ

ネジ穴の検討

ネジ穴のサイズの検討をつけるために、ノギスで、メスネジの径とオスネジの径をノギスで測定してみました。

ノギスでネジサイズを測定

メスネジの径は18mmにします。
ネジ山は、測定値から0.7mm位が適当と思われますが、3Dプリンタで出力した場合縮みます。
なので、ネジ山は0.3mm~0.7mmの間くらいで試すことにします。
ネジのピッチは、0.7mmか0.5mmと思われるので、0.5mmで試してみます。

ネジ穴部分の設計と試作

前項でも記載しましたが、3Dプリンタで出力すると、樹脂が縮むため、中々寸法通りにはいきません。
そこで、ネジ穴の噛み具合を試す簡単なネジ穴を作成して試してみます。

ネジ穴部分の設計

3D CADでネジ穴部分の設計を行います。
設計の手順ですが、以下の流れになります。

  1. 円筒の穴の開いた板を作成
  2. ネジ山の元になる平面図を作る
  3. ネジ山を作る
1.円筒の穴の開いた板を作成

作業は、以前に説明した操作でできます。
最初の平面上に20mmの四角を書き、真ん中に18mmの円を書きます。
3Dモードに変更し、円の周りの平面をプルで3mmほど持ち上げます。
真ん中の円は平面で残ってますが、使わないので、左のストラクチャーウィンドウのSurface(平面)を選択し、右クリックして削除をします。

円筒の穴の開いた板の設計

2.ネジ山の元になる平面図を作る

ネジ山の断面の形状を作ります。
作成方法は、これまで説明した方法と変わりませんが、スケッチモードを設定する面の位置に工夫が必要です。
ネジ山は、前項で作成した円筒の穴の側面に必要なので、円筒の断面部でスケッチモードにします。
まず最初に、前項で作った四角の側面でスケッチモードにします。
そこで、四角を書きます(サイズは気にする必要ありません)
3Dモードに戻し、プルで10mm(元の四角の1辺の半分の長さ)の厚みにします。
それによってできた直方体の面を選択すれば、ネジ山を作成する面でスケッチモードにできます。

ネジ山の平面図を作成する

円筒のへりの部分にネジ山の断面の形状を作ります。
底面が0.3mm、高さが0.5mmの断面の形状を作ります。(高さは、試作の結果を受けて変更します)

ネジ山の平面図作成

3.ネジ山を作る

まず、モードを3Dモードにします。
前項で作成したネジ山の断面を選択し、プルツールを選びます。
このままだと、ネジ山がまっすぐ伸びてしまうので、らせん状にする設定を行っていきます。
まず、編集画面左上の回転を選択してから、円筒の中心をクリックし回転軸を指定します。
次に、画面左のオプション-プルの中の「ヘリカル」にチェックを入れます。
(「ヘリカル」が無い場合、オプション-プルのサイドバーを下に下げると、回転オプションの欄に出てきます)
そうすると、編集画面にヘリカルの設定項目が現れます。
ピッチに0.5と入力します。(テーパー角は、徐々に螺旋が狭まったり広がる場合に設定しますが、今回は設定しません)
そして、高さの欄に値をいれると値の高さだけらせん状のネジ山が作成されます。

ヘリカルでネジ山を作成このままだと、四角の上下にネジ山がはみ出ているので、はみ出ている部分をカットします。
画面上のメニューからボディ分割を選択します。
次に、はみ出ているネジ山を除去します。
反対の面にはみ出ているネジ山も同様の操作をすると、ネジ穴が完成します。
ヘリカルプルでネジ山の作成
あとは、ネジ山を描く際スケッチモードの面をセンタするために作成した直方体を削除し、
STLファイルを保存し、GCODEファイルを生成してプリントアウトします。

試作とネジのサイズの確認

3Dプリンタで前項で作成したネジ穴をプリントします。
以前の記事で、下に穴や隙間があると形が歪むと記載しましたが、あまり大きくはみ出ない場合や、45°程度の傾斜でせり出ていく分には歪まずに整形できます。
ネジ山は0.5mm程度のでっぱりなので、精度良く成型できます。
プリントしてから、レンズをねじ込んでみて、うまくかみ合うかを確認して、適当なネジ山のサイズを見つけます。

ネジ確認写真

3Dプリンタの機種によって値が変わるかもしれませんが、以下のサイズでうまくはまりました。

  • 円筒径:18mm
  • ネジピッチ:0.5mm
  • ネジ山:底辺0.3mm 高さ0.5mm

ホルダーの設計と製作 

ネジ穴のサイズが確定したので、4つのレンズ用の4つのネジ穴とクリップをはさむためのバーを備えた形状を作成しました。

ホルダー寸法

スライサーでGCODEを生成し、3Dプリンタでプリントアウトしてみました。
使用した樹脂の重量は、10.97gなので、材料代は、32.9円となりました。

3Dプリントした写真

ホルダーにレンズと、キーホルダーリングを装着してみました。

ホルダーにレンズを装着した写真

スマホにつけるには大きめですが、バッグなどにつけるなら気にならないサイズです。

まとめ

4種類のレンズを購入しましたが、せっかくならスマートに持ち歩きたいと考えてホルダーを作成しました。
他では売られていない便利グッズを作成できるのも3Dプリンタの良い点ですね。
また、機会があれば、自作グッズの作成手順を紹介したいと思います。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。