知恵生活の種

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ダーツケースを3Dプリンタで作った2:スライサーにSimplify3Dを使う

以前の投稿に引き続き、ダーツケースを作成していこうと思います。
3Dプリンタ用にGCODE形式のデータを作成するためにスライサーというソフトウェアを利用します。
以前の投稿では、無料のスライサーを紹介しましたが、今回はSimplify3Dという有料のスライサーを利用します。

Simplify3D

Simplify3Dは、米国のSimplify3D社が開発したスライサーです。
Simplify3Dは、非常に高機能なスライサーですが、無料のソフトウェアであるCURAの方がまめに更新されているため、機能の差は、徐々に差は詰まってきているように思います。

www.simplify3d.com

それでも、Simplify3Dが優れている点として、以下が挙げられます。

  • 表面の壁を薄くプリントする場合の精度が高い
  • 中空構造のものをプリントする際に生成するサポーターが取り外ししやすい
  • プリントするエリアによって設定を変更できる

一方で、有料のソフトウェアで、2021年7月6日時点で値段は149$します。

Simplify3Dの値段

2週間のトライアル期間があるので、迷っている人は無料で試してから購入するか決めると良いと思います。

ダーツケースの細工

今回、Simplify3Dを利用したのは、前項で記載した優れている点の中の「プリントするエリアによって設定を変更できる」点が都合が良いためです。
設計したダーツケースはフタがないため、プリントアウトしたままでは、ダーツが落ちてしまいます。
そこで、人口皮革のベルトを取り付けてフタにします。

ダーツケースのフタ

ベルトは、木ネジでとめようと思います。
3Dプリンタでプリントする場合、樹脂とプリント時間の節約のため、内部をすべて樹脂で埋めず空洞のエリアを設けます。
これは、インフィル率(樹脂の割合)を設定することで、スライサーが自動的に空洞を作成してくれます。

インフィル率20%の中身

一方で、木ネジでとめる部分は空洞が多いとネジが締まらないためインフィル率を高く設定したいです。
なので、ネジを締める部分だけインフィル率を上げてやることで、ネジが締まるようにプリントします。

このように、エリアによってインフィル率を変更する場合にSimplify3Dの機能が役立ちます。

Simplify3Dの設定

ダーツケースのSTLデータをSimplify3Dに読み込みます。

STLファイルの読み込み画面

インフィル率が20%程度のエリア(上部と下部)とインフィル率100%のエリア(ねじ止めをする中部)の系エリアの設定を行うため、プロセスを3つ用意します。

プロセスの設定画面

それぞれのエリアに各プロセスを当てはめていきます。
最初にprocess1をスタートから4cmまでの高さの設定とします。
操作は、process1をダブルクリックすると、process1の設定の編集画面が立ち上がります。
高度な設定タブをクリックし、②レイヤーの修正の項目の指定の高さでプリントを停止の項目にチェックをいれ値を40mmとします。
また、上部の③一般設定の項目にあるインフィルの割合を20%にします。
同様にprocess2では、レイヤの修正の項目高さで印刷を開始指定の高さでプリントを停止の両方にチェックを入れ、開始を40mm、停止を70mmに設定します。
そして、インフィルの割合は100%にします。
最後にprocess3では、高さで印刷を開始の項目のみにチェックを入れ値は70mmとします。
そして、インフィルの割合は20%にします。

各プロセスの設定画面

これにより、ねじ止めをする部分は樹脂が詰まって、他の部分は樹脂を節約してプリントできます。

インフィル率が違う場合の比較図

プリント開始の準備をクリックし、ツールパスをディスクに保存をクリックするとGCODEファイルを保存できます。
また、プリント開始の準備をクリックした際に、複数のprocessが有る場合、プリントのプロセスを選択するというウィンドウが立ち上がってきますので、すべてのプロセスを選択し次へ進みます。

プリント後の加工

生成されたGCODEファイルを元にプリントします。

プリントアウト後の写真

写真で見るとキレイにできていますが、一層目にバリが出てしまったり、ケースの穴の中に樹脂がはみ出てできたバリが有ったりします。
特にインフィル率を上げたところは、出力された樹脂が溢れてバリや小さな樹脂のカタマリがはみ出ることがあります。
そういった部分をカッターやヤスリを使い整えます。

バリを取る作業の写真

ケースの中のバリを削る作業

次に、ネジ締めをする場所にドリルでガイド穴をあけ、ベルトを木ネジでとめていきます。

木ネジを締めるためのガイド穴をあける写真

ネジの部分はインフィル率を高くしたため、ガイド穴の周りに空洞もできずキッチリネジ締めすることができました。

ネジ締め後の写真

以上で、ダーツケースが完成しました。

ダーツケースの写真


まとめ

すべてが黒いので、他の色のフィラメントを使った方が見栄えが良かったと作ってしまってから後悔してしまいましたが、ケースとしてはうまくできました。
使用した樹脂の重量は117.93gで、材料費は354円程度となりました。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。