DIY作業をしていると、指先等を怪我してしまいます。
軍手や手袋もあるのですが、繊細な作業は素手でおこなっています。
ありがちなのは、カッターの切り傷、はんだごてのヤケド、ヤスリなどの擦り傷です。
特にヤケドで皮がむけた時や、擦り傷にはにモイストヒーリング(湿潤療法)が良いと、自転車競技をしている友人が教えてくれました。
実際試してみると以下のメリットがありました。
- 治るまでの時間が早い
- ヒリヒリした痛みが少ない
- 傷がきれいに治る
そこで、湿潤療法と湿潤療法用の絆創膏についてまとめてみました。
乾燥療法とモイストヒーリング(湿潤療法)
既に、かなりの人に知られてきているモイストヒーリング(湿潤療法)ですが、少し上の世代の人には、「傷口を消毒して乾燥させてから絆創膏を貼る」「かさぶたは取らない」という方法が正しいと考える人もいます。
この「消毒」と「乾燥」が重要と唱えたのはジョセフ・リスターというイギリスの外科医です。外科手術後に菌による化膿が原因で死亡する患者に有効な手段として消毒をして菌を除去し、乾燥させることで菌の繁殖を防ぐようにすることの有効性を1867年に発表しました。
彼の発表はすぐには社会に受け入れられなかったのですが、パスツールやコッホが菌と腐敗・病気の関係を明らかにするのに従って浸透していきました。
そして、その考え方が、一般に普及して傷を治す際の常識として広まりました。
その後、1919年になると、ペニシリンを発見したアレクサンダー・フレミングが消毒をすると傷の治りが遅くなるという報告をします。
1940年代には傷は湿らしていた方が直りが早いという報告がされるようになり、モイストヒーリング(湿潤療法)の有効性が証明されていきます。
なお、ジョセフ・リスターの「消毒」と「乾燥」は、有効な手洗いの方法として現在でも行われています。
また、ペニシリンをはじめとする抗生物質の発見により、傷に菌が入り込んだ場合でも敗血症を起こさずに済むようになったこともモイストヒーリング(湿潤療法)の普及に影響しています。
出展:中外医学社「湿潤療法の考え方、使い方」1章を参考
写真出展:Joseph Lister | Biography, Facts, & Antiseptic Medicine | Britannica
モイストヒーリング(湿潤療法)とは
湿潤療法は、傷を消毒せず水道水や生理食塩水で洗い、傷の周りを湿度を逃がさないもので覆って乾燥させずに治癒させる方法です。
消毒をしないのは、消毒によって、菌だけでなく傷口内の細胞まで死滅してしまうからです。
菌の影響が心配と考える方がいると思いますが、人体にもマクロファージ、好球中などの菌に抵抗する細胞があり、消毒により菌に抵抗する細胞も死滅します。
このことが実験的に証明されたのは、1982年で比較的最近知られたことになります。
参考:高岡駅南クリニック
家庭でできる湿潤療法
自転車競技をしている友人は、水で擦り傷を洗ってから、傷の周りを食品用のラップ(サランラップやクレラップ)で巻いていると聞きました。
実際に、調べてみると、逓信病院のホームページでも以下のような記載がありました。
家庭においては、市販の湿潤療法用の絆創膏の他、白色ワセリンを塗った食品用ラップフィルム等で対応することができます。
小さな擦り傷や切り傷、やけど等の場合、傷口を水道水できれいに洗い、被覆材を当てると数日で治ります。
被覆材は毎日(暑い季節の場合には1日2~3回)交換することが望ましいです。
市販の湿潤療法用の絆創膏
最近では、湿潤療法も知られてきており、湿潤療法用の絆創膏も販売されるようになっています。
- ジョンソンアンドジョンソン
キズパワーパッド
サイズや用途に合わせて7種類のラインアップがあります。
693円(税抜)~ - ニチバン
ケアリーヴ 治す力
機能やサイズで14種類以上のラインアップがあります。
750円(税抜) - 祐徳薬品工業株式会社
カットバン リペアパッド
サイズにあわせて4種類のラインアップがあります。
800円(税抜)
素材が違うせいもあり、値段も一般的な絆創膏より高めです。
早くキレイに治ることを考えると値段に見合った価値かもしれません。
それでも安く売ってないかと思い、百均ものぞいてみました。
すると、CANDOに湿潤療法対応絆創膏が売られていました。
どれも、ひと箱100円(税抜)です。
中に入ってる枚数が少ないので、それも安さの理由かと思いましたが、近いサイズで比較してみると
キズパワーパッド 69.3円/枚
ケアリーブ 62.5円/枚
カットバン 66.7円/枚
CANDO 25.0円/枚
と単価も抑えられています。
最後に
今回は、湿潤療法についてまとめました。
先ほど、引用した逓信病院のページでは、以下の注意も記載されていました。
傷が深い場合や、けがをした方が糖尿病の場合など、家庭での治療が危険な場合もあります。
もし当てはまる場合は、病院で診てもらいましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。