新型コロナウィルスの蔓延に伴って、ご家庭や飲食店にもアルコール等の消毒液が常備されるようになりました。
アルコールは、古くから使われている消毒液ですが、最大の効果を得るための使い方があります。
アルコールで消毒する際の注意点をまとめてみました。
エタノールの菌とウィルスに対する効果
エタノールは濃度や菌・ウィルスの種類で効果が変わります。
エタノールの濃度と効果
エタノールは、菌やウィルスの細胞膜を壊し、菌やウィルスを構成するたんぱく質を変移させることで菌を殺し、ウィルスの感染力を失わせています。
エタノールの分子が細胞膜に穴開けて、細胞を破壊、死滅させます・・・
エタノールにはタンパク質を変性させる作用があり・・機能を失います
いっぽうで、効果は濃度によって異なり、濃度が低すぎても高すぎても最大の効果は得られません。
そのため、日本で消毒用として販売される「消毒用エタノール」は、
15℃でエタノール(C2H6O:46.07) 76.9 ~ 81.4 vol%を含む(比重による)
と定義されています。
エタノールの濃度と菌・ウィルスへの効果
また、菌やウィルスの種類によっても効果のある濃度は異なります。
出展:「殺菌・抗ウイルス効果に及ぼすエタノール濃度の影響 (東京医療保健大学大学院 神明 朱美 氏 博士論文(2019年))」を元に図にし代表的な菌・ウィルス情報を付加
図からもわかるように「消毒用エタノール」であれば効果のある菌・ウィルスに有効です。
また、上記の実験では、菌やウィルスを含む液を10秒間エタノール溶液に混ぜています。
そのことから、「適切な濃度のエタノールに十分な時間浸す」ことが重要であることが分かります。
新型コロナウィルスへの効果
新型コロナウィルスは、前項の分類ではエンベロープウィルスに分類され、ウィルスの中では比較的消毒が容易な部類になります。 Annika Kratzelらは、WHOが推奨するエタノール消毒剤(エタノール800g、グリセリン等9.139g、水190.861g)に新型コロナウィルスを30秒間浸した際の効果を実験しています。
実験結果は、40%以上の濃度の製剤で無効化することを示しています。
また、厚生労働省も60%台濃度のエタノールでも効果があると伝えています。
60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません。
効果を最大に生かす手指消毒方法
消毒の際に手指消毒を推奨されますが、それには理由があります。
また、最大の効果を得るための消毒方法と注意点をまとめます。
手は顔をよく触る
感染のほとんどは、目、口、鼻から菌やウィルスが体内に入ることで起こります。
空気感染が無い前提で、食べ物や飲み物を除くと、目、口、鼻へ一番接触するのは手になります。
米国国立衛生研究所の調査では、1時間に3回から4回の間顔を触るという結果が出ています。
66.2時間にわたって249人の無作為に選んだ人を調査した結果
ブラジルのフロリアのポリス市→3.3回/時
アメリカのワシントンの地下鉄→3.6回/時
口や鼻を触っている。(要約)
そのため、飲食店に入る際や外出から戻った時に手指消毒をすることは大切です。
効果的な手指消毒方法
WHOが推奨する手指の消毒方法は下の図の通りです。
注意点を付け加えるといかが挙げられます。
1)アルコールを伸ばしている間に乾燥しないように十分な量を取る
2)アルコールが浸る時間を十分とるよう乾くまで拭き取らない
アルコール入り除菌シートは効果がない?
ここまでの話だと、アルコールの含有量が少ない「アルコール入り除菌シート」は効果がないと思われる方もいるかもしれません。
アルコールには、菌を殺したりウィルスを無効にする効果のほかに、油分を除去する効果があります。
人間の手には皮脂という油分が含まれていて、そこに菌やウィルスが付着している場合、水ぶきだけでは、菌が付着した油分や手垢を除去できない場合があります。
そこで、アルコール入りの除菌シートでふき取ると油系の汚れとともにそこに付着した菌やウィルスを除去することができます。
ただし、消毒はできないため、拭き取ったシートはすぐに捨てることが効果的です。
まとめ
今回はアルコール消毒の注意点と消毒以外のアルコールの効果についてまとめました。
新型コロナウィルスの影響もあり、清潔に対する意識が高まったことで、インフルエンザの感染者数が減ったという報告が上がっています。
11月の患者数は第1週~4週まで全て9割減
衛生に気を付けてより健康な生活を送ってください。